2021年2月19日から3月19日まで募集したVIVA AWARDへ、多くのアーティストグループからプラン応募がありました。(公募概要はこちら)
厳選なる審査によって選ばれたVIVA AWARD フェローアーティストおよびVIVA AWARD2021アソシエイトアーティストを発表します!

 

VIVA AWARD 2021 フェローアーティスト

「NULLNULL STUDIO」
メンバー:諏訪部 佐代子・君島 英樹

 

VIVA AWARD 2021アソシエイトアーティスト

石原朋香×好光義也 
メンバー:石原 朋香・好光 義也

大道寺超実験倶楽部 
メンバー:大道寺 梨乃・伊澤 沙里・小野寺 里穂 

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メンバー:久保田 智広・原田 美緒・うら あやか・大橋 鉄郎・倉敷 安耶・檜皮 一彦

 

総評


レオンハルト・バルトロメウス Profile

私はVIVA AWARDの審査員の一員として応募者による多くの興味深い提案に出会えたことに感謝します。特にこの困難な時代にあっても、アートには一般の人々と関わる多くの可能性があることを知ることができました。実現すべき提案を1つだけ選ぶというのは難しい決断でした。様々な制約がある中で、最終的に選ぶことのできた1つの案は、審査員一同が期待するようにうまくいくことでしょう。私は今回のイベントを、どのアイデアがベストかを選ぶためのコンペというよりも、サイトスペシフィックな公共エリアでの仕事がアーティストとVIVAの双方にもたらす可能性を見極めるためのものだと考えています。とはいえ、応募者の皆さんは自身の将来的な芸術活動と公共のニーズの両方のために、たくさんの素晴らしいアイデアを発展させられました。他の応募者の皆さんには、自分の芸術的アイデアを追求し続け、近い将来にそれらが実現する時を待っていてほしいと思います。

 

能勢 陽子 Profile

全体的に、VIVAの場を活かして柔軟に発表方法を捉え、多様なメディアで展開していこうとする興味深い案が多かった。(((((,の雑誌の特集記事という設定、NULLNULL STUDIOの商業施設でのアートと経済の話の展開、TRIDE ART BRIDEの美術作家・建築家・フィールドワーカーによる地域を象徴する作品の共同制作、石原明香×好光義也のオンライン化が進む中であくまで媒体となる身体、大道寺超実験倶楽部のイタリアと日本の距離を超えた演劇など、現在の状況を反映しつつ先を見据えた多彩なプランが提案されていた。コレクティブによるメリット、デメリットがもっと明解に示されているとなお良いと思った。

 

田村 かの子 Profile

初めてのアワード開催にも関わらず、豊かな思考とエネルギーに満ちた企画が多数寄せられ、私自身も大いに勇気づけられた。世界中の人が感じたこの一年の苦しみや困難を、前向きな力へと変える提案が多かったと思う。
この一年は「偶然の出会い」があまりに足りなかった。生活のあり方や人との距離感が変わったことで、予期せぬ人に出会い、知らない世界の扉を開けるきっかけを私たちは失っている。仕事場でも家でもネット空間でもないこのVIVAという場所は、市民、アーティスト、学生、通りすがりの人など、立ち寄るすべての人々がそれぞれデコボコな存在のまま、お互いに出会い直せる場になって欲しいと願う。そんな居場所を丁寧に、クリエイティブに、かつ自分たちでも楽しみながら作り出すだろうと期待できるアーティストを選出した。

 

森 純平 Profile

駅の改札を出て、エスカレーターを登ったらすぐそこにVIVAがある。目に入ってくるのは東京藝大の魅力的な買い上げ作品たちが収められたオープンアーカイブ。贅沢なことに作品を背景に地元の高校生達が勉強をしたり、アートとともに彼らにとっての日常になっている。
今回開催されたVIVAアワードにおいて、すでに出来上がった作品でなく、新たにVIVAで立ち上がる個々のプロジェクトの制作プロセスがこの場所の風景になってほしいと思っている。その背中をみて次々と新たなクリエイションがうまれる場所になるはずだ。
今年は社会的な状況によってオンラインでの開催となってしまったが、来たるべき新しい日常では多様な方向性をもったプランをもとに、VIVAがどうあればいいか、取手にどんなことがうまれたらおもしろいのか?いや予想を超えるものがみてみたい!そんなワイワイとした議論をぜひその場にいるみなさんと共有していきたいと思っています。

 

VIVA AWARD 2021 フェローアーティスト


NULLNULL STUDIO

メンバー:諏訪部 佐代子・君島 英樹

提出プラン:ノット・フォー・セール -駅ビル美術を定義する-

 

展示「NULLNULL」左:君島英樹 右:諏訪部佐代子 Photo: Ujin Matsuo


アーティストプロフィール

諏訪部佐代子
1995年千葉県生まれ。 2019年3月東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2019年4月 東京藝術大学大学院美術研究科 GAP 専攻入学。
<受賞歴>2017年4月石橋財団海外派遣奨学金、安宅賞 受賞 2019年3月 サロン・ド・プランタン賞受賞 ( 油画専攻卒業制作作品 次席 ) 
<展示歴>2016年9月 あなたの声がききたくて、 企画・展示 ( 上野商店街 ) 2017年4月 個展 ほげほげふがふが展( 駒込 atelier CCP) 2017年7月 安宅賞展 ( 藝大内 yuga gallery、立体工房 ) 2017年10月 1000 days to go! ( 東京スカイツリー ) 2017年11月 ユリアンアヌラーシュ (walking memories) (藝大内 yuga gallery) 2019年11月 ホリゾントとタブローの実践考古学 ( 中西夏之旧アトリエ ) 2021年2月 NULLNULL ( NULLNULL STUDIO )


君島英樹 
1995年神奈川県茅ヶ崎市出身。2019年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2020年同大学大学院美術研究科壁画第二研究室入学。2021年同大学大学院美術研究科壁画第二研究室在籍。
<受賞歴>2019年卒業作品が東京都知事賞を受賞 
<展示歴>【2016年】グループ展「FLAT展」【2017年】二人展「1+1+2」(芸大生と現役美容師とのコラボ展)/10月「1000days to go!」【2018年】3月個展「め し」/8月個展「枠の中の風景」【2019年】1月第67回東京藝術大学卒業・修了作品展【2020年】12月東京藝術大学壁画第二研究室展「BREAK THE WALL2020」/7月グループ展「顔展」【2021年】2月グループ展「NULLNULL」/2月個展「ASSORT PALETTE」


審査員コメント


田村 かの子
NULLNULL STUDIOの企画は、若手アーティストの経済問題や駅ビルの歴史と運営など、一般の人がアーティストと紐づけて考えないであろうリアルなトピックに切り込んでいこうという意気込みが面白いと思いました。課題としては、①取手の住民やVIVAを利用する人々とどのように問題意識を共有して、お互いの抱えているものについて一緒に考えたり、助け合うような関係を作れるか、②1年を通して行うプロセスをどのように文脈を知らない他者に共有していけるか、ということだと思うので、そこにクリエイティビティとガッツとユーモアを存分に発揮して、これまでにない手法や関係性を築いていくことを期待しています。
地にしっかりと足をつけ目の前の人や事象に向き合いながら、想像力と表現力は思い切り自由に大きく、羽ばたかせてください。

能勢 陽子
まず、巨視的な時間と空間感覚を持った作品自体に惹かれた。そして、美術が価格と直接結びつくギャラリーやデパートの展示場とは異なり、商業スペースとはいえ人々にとってより身近なVIVAという場で、階下の店舗スタッフにもインタビューし、アートと経済の話を展開していくことに可能性を感じた。これまでの美術のフレームでは語られなかったようなアートの対価価値、もしくはそれを超える価値、労働と対価の関係といった人間の総体的な活動が、作品とあわせて見えてくるのではないかという期待がある。  

レオンハルト・バルトロメウス
個人的には、アート作品をどのように評価するかという話題に関心があります。見た目の美しさを基準にするのか、それとも機能を基準にするのか。他の一般的な商品と競合できるのか?このような話題は、アーティストにとっても、キュレーターにとっても、そして一般の人々にとっても、常に実りあるものだと感じています。 VIVAの周辺でプロジェクトを訪れた人々が、こうした話題に遭遇することを私は期待しているのです。彼女らのアプローチが私の関心と重なっていたことよりも、企画書を通して最初に浮かんだ私の考えは別のものでした。むしろ、このプロジェクトはとても強く場所に結びついているのです、おそらく応募者がその場所の環境を熟知しているおかげでもあるでしょう。何らかの語るべき具体的な問題があり、私は、対等な会話へと到達するためにいくつかのプログラムやワークショップを一般の人々と一緒に取り組むことがよいと考えました。一般の方と一緒に仕事をする際には常に何らかのリスクがつきまといますが、それらを私たちは実験の一部として扱います。この関係を意識していてください。私は、NULLNULL STUDIOが自分たちの方法論を拡張し、このプロジェクトを一般の人々にとってより意味のあるものにする方法を見つけてくれると信じています。

森 純平
今回の応募にあたって、個人ではなくメンバーで応募をしてもらうということを企ててみた。思考の過程が深さを生むと同時に、制作の過程での対話の時間が作品の幅を広げると思うからだ。今回応募者の中でNULLNULL STUDIOはメンバー二人の関係性に役割がなく自然体で対話をしているところに惹かれた。我々VIVAと共に、息をするように創造の為の対話を楽しんでいきましょう。

 

また、各審査員からの推薦を受け、3組のアソシエイトアーティストを設けることとなりました。アソシエイトアーティストには1年間のVIVAの施設使用権を付与します。

 

VIVA AWARD 2021アソシエイトアーティスト

 

石原朋香×好光義也
メンバー:石原 朋香・好光 義也

推薦コメント|田村 かの子
漠然と「アート」に出会うのではなく、アーティストという個人と出会ってはじめてその向こうの世界への扉が開くのだ、という感覚にとても共感しました。どんなに高尚な思想を掲げて大きな仕事を成し遂げようとしても、結局は人と人との身体的な経験や対話を通じて、少しずつ物事を進めていくしかないと、私も日々の活動のなかで実感しているからです。
今回のプランでは「VIVAでしかできない企画かどうか」という要素が少し説得力に欠けたので、アワードの受賞には至りませんでしたが、ぜひアソシエイトアーティストとして場所を最大限に活用して、活動を続けてください。VIVA利用者のなかで一人でも、石原さん・好光さんとの出会いをきっかけに世界の見方が変わる経験をする人が出てくれば、アーティストとして大成功だと思います。応援しています。

 

大道寺超実験倶楽部
メンバー:大道寺 梨乃・伊澤 沙里・小野寺 里穂 

推薦コメント|能勢 陽子
これまで世界中の小さなギャラリーや友人の家、カフェなどで行ってきた大道寺梨乃の演劇は、VIVAで展開した時、どのような過程で実現されまた変化していくのかということに大きな可能性を感じた。コロナ禍下においてこれまで以上に日本と世界の違いや距離を感じるなかで、イタリア在住の大道寺の破壊力を伴うキッチュな世界は、何気なくそこを訪れた高校生や高齢者の人たちも含めた来場者に、自分たちの問題にも繋がる直接的かつ新鮮な体験をもたらすことが想像された。

 

(((((,
メンバー:久保田 智広・原田 美緒・うら あやか・大橋 鉄郎・倉敷 安耶・檜皮 一彦

推薦者コメント|レオナルド・バルトロメウス
カッコが開かれたままであることの他に、この提案に出会ってすぐに気がついたのは、「アイデンティティ」の問題を彼女らが核心的な問題として取り上げようとしているということです。それは、とりわけ現代社会においては本質的なものですが、同時に複雑な問題でもあります。「マガジン」という概念を用いた彼女らのアプローチはこの問題に対処する一つの方法であり、大きな塊としてすべてを1つのプレゼンテーションに押し込むのではなく、問題を複数のセクションに分けてそれについて一般の人々との対話をゆっくりと構築していく方法なのだと、私は理解しています。大まかに言えば、これは多くの場所で行うことができる実現性の高い提案だという印象を受けます。逆に言えば、それが現場の具体性を失わせているとも言えます。行動計画を読んでいても、「なぜ、どのように一般の人々に向けて公開するのか」といったように、つかみきれない抽象的な感じがあるのです。しかしVIVAや取手を中心とした公共の場に特化したよりストレートなアプローチをもって、このチームがプロジェクトに取り組むことができるという予感もあります。彼女らがいずれどこか別の場所で実行するにしても、私はそれを楽しみにしています。


これから1年にわたって、たいけん美じゅつ場は各グループの活動支援を行います!今後の活動にご期待ください!
第1回VIVA AWARD応募概要はこちらを参考ください。