ノット・フォー・セール

展示期間|2021年7月23日 (金) - 8月16日(月)
場所|アトレ取手4階 たいけん美じゅつ場

この作品はいくらですか?という問いからこの企画は始まりました。アーティストにとって、「作品に値段をつけること」は非常にナイーブな問題です。現にファインアーティストである諏訪部は自作に価格をつけることにやや懐疑的な立場でこのプロジェクトをスタートしました。SNSやNFTが発達した今、他者の作品の値段を知る機会は多いですが、実際美術作品の価格とは曖昧なものです。同じくアーティストの君島は「お弁当ワークショップ」というワークショップを小学校を中心に行なっていますが、その際子どもたちが作った食べられない「お弁当作品」に毎回値段をつけてもらいます。価格のつけ方も含め子どもたちの感性は私たちの感覚とは全く異なり、その場は常に創作のエネルギーで満ち溢れています。さて、美術とその価値とは何でしょうか?
これらの議論を十分に行うため、NULLNULL STUDIOはたいけんびじゅつ場で5月より滞在制作をしてあらゆる訪問者の方と対話をしてきました。映像を見たり作品を見せあったり、ときにはインタビューの機会を設けたり…。そしてこの展示ではそのプロセスとともに実作を展示します。このプロジェクトを商業施設であるアトレで行う意義は非常に高いと考えます。なぜなら、人々の生活を支えてきた経済の第一線であり、常に価値、価格と向き合ってきた場所であるためです。中でもアトレ取手にあるVIVAは駅ビルの中にある文化交流拠点として、核家族化の進む現代において、井戸端的な、多世代交流の場となっています。
本展はファインアートを実践する二人のアーティストがゲストを招いてこの場所で表現する対話的展示です。

 

ワークショップについて

8月9日(月)〜16日(月) 
詳細はこちら

※新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、延期させていただきます。開催日は決まり次第、HPにてお知らせいたします。

■君島英樹「ヘンテコ弁当を作ろう!」
いろいろな発想を詰めていく食べられないオリジナル弁当をつくります。自分のために作ってもよし、誰かに感謝の気持ちを込めて作ってあげたい、そんな思いを詰め込みましょう、僕と一緒にヘンテコな弁当を作ろう!

■諏訪部佐代子「身体より大きな絵を描いてカーテンにしよう!」
身体を大きく使って空間を彩る素敵なカーテンを作りましょう。終わったら持って帰っても大丈夫!大人の参加も大歓迎です。

 

トークイベントについて

■NULLNULL STUDIOと井戸端会議
会期中随時開催中!
VIVAに滞在するNULLNULL STUDIOの二人と お話をしませんか? 滞在日程は会場・VIVAウェブサイトに掲示予定、予約不要です。いつでもお声がけください。

■作品ウォーク
ゲストアーティストと共に作品の解説をしながら展示を回るトークイベント・作品ウォークを企画しています。

NULLNULL STUDIOの滞在スケジュールとトークイベント等のスケジュールはこちら⬇️

 

■トークアーカイブ
ゲスト|レオンハルト・バルトロメウス
実施日時|2021年8月10日(火)17時30分~19時00分

VIVA AWARDの審査員を務めたレオンハルト・バルトロメウスは私たちにこのような言葉をかけてくれました。
NULLNULL STUDIOは、展示「ノット・フォー・セール」とそのプロセスで起こった来訪者の方々からの反応や若手アーティストの抱く問題を共有し言葉を交わし合うための場所として、国際的に活躍するキュレーターであるバルトロメウスとフリートークセッションを行いました。 トークでは私たちの展示で何が行われているのかをご紹介し、またどんな場として捉えられているのかを普段「アートとは無関係」と称する来場者の方々の客観的な意見を踏まえながら対話します。画面越しに見るこの場をバルトロメウスと私たちはどう言語化したのでしょうか。記録をぜひご覧ください。
〜NULLNULL STUDIO より〜

 

NULLNULL STUDIOについて
2021年に取手市井野にて発足した諏訪部佐代子、君島英樹によるスタジオスペース。同年2月にオープニングイベント「NULLNULL」を開催。5月よりVIVAで滞在制作を行う。

諏訪部佐代子
1995年 千葉県生まれ
2019年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業 現在同大学大学院美術研究科GAP専攻 在籍
2017年 安宅賞 受賞
2019年 サロン・ド・プランタン賞 受賞

絵画作品のほか、インスタレーションを主軸として、パフォーマンスや石、コンクリートをはじめとする彫刻など幅広いメディアで問いかける。2021年現在、多くの技術の発展により人類は過去や未来をありありと想像することが可能になった。また、我々の世代では隔たりなどまるでないかのように現在を共有することができる。このような過去から見ると非常に特殊な時代背景の中、展示空間を通して時間の概念の再定義を試みる。
諏訪部佐代子《かつてこの星を毛のない猿が支配していたらしい》

 

君島英樹
1995年 神奈川県茅ヶ崎市生まれ
2019年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業 現在同大学大学院美術研究科壁画第二研究室 在籍
2019年 東京都知事賞 受賞

中学生のとき、祖母が作ってくれたお弁当から着想を得て、お弁当をテーマにした石や石膏、土、藁、炭、などの自然素材を組み合わせた制作をする。さまざまなおかずを組み合わせてできあがるお弁当を、作品と同様であると捉え、絵画や立体を始めとする様々な素材で表現している。最近は新型コロナウィルスで変わってしまった生活様式を明るく楽観的に捉えるテーマで制作をしている。マスクで人の表情が見えなくなってしまったことや休業宣言で移動が制限されてしまったことに対して、「笑顔」や「新しい展示形式」をテーマとして少しでも笑って帰ってもらえるような展示を目指している。

君島英樹《光る人》2020年

 

ゲストアーティストについて
2021年3月東京藝術大学映像研究科メディア専攻を修了した作家。
展示に誘致したきっかけは君島が2021年に個展をした三軒茶屋のギャラリーで出会ったことだった。彼は架空の作家がトイレットペーパーの芯などの既製品に新たな価値をつけ、それを彼自身がキュレーションするという展示を行った。そこに興味を抱いた我々は今回のコンセプトとの親和性を感じ、価値について一緒に面白いアイデアを生み出せると思い、展示へ招致した。

瀬古瑞歩
1997年東京都生まれ
2019年日本大学芸術学部デザイン学科 卒業
2021年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻 修了 現在、東京を拠点に活動している。

言葉、写真、映像、音、日用品など、様々な素材をメディアとして用いて制作している。僕の作品にとって、表現している内容は重要ではない。僕の制作は文法そのものにあるので、内容もまた素材であり、「作る」より「編む」という言葉の方が近い。幼少期から没頭していた日本のお笑いをルーツに、了解していた物事を相対化し、そしてその過程で痙攣のように現れる美を探究する。

瀬古瑞歩 《monologues》2019 年

 

■展示についてのお問い合わせ
nullnullstudio@gmail.com (NULLNULL STUDIO)

■感染症対策
新型コロナウイルスの感染状況に応じてイベント内容が変わる可能性があります。随時本ページにて詳細を更新いたします。